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林業を考える 2

この燃料革命と同時期の昭和30年代、
木材の需要を賄うべく、木材輸入の自由化が段階的にスタートし、
昭和39年に木材輸入は全面自由化となりました。
国産材の価格が高騰する一方で外材(外国産の木材)の輸入が本格的に始まったのです。
外材は国産材と比べて安く、かつ大量のロットで安定的に供給できるというメリットがあるため、
需要が高まり、輸入量が年々増大していきました。
しかも、昭和50年代には、変動相場制になり、1ドル=360円の時代は終わました。
その後、円高が進み、海外の製品がますます入手しやすくなったのです。

これらの影響で、昭和55年頃をピークに国産材の価格は落ち続け
日本の林業経営は苦しくなっていきました。
昭和30年には木材の自給率が9割以上であったものが、今では3割弱まで落ち込んでいます。
日本は国土面積の67%を森林が占める世界有数の森林大国です。
しかしながら供給されている木材の7割は
外国からの輸入に頼っているといういびつな現状になっています。

一方、国内の拡大造林政策は見直されることなく続けられていました。
平成8年にようやく終止符が打たれましたが、木材輸入の自由化、
そして外材需要の増大の影響で、膨大な人工林と借金が残りました。

現在、間伐を中心とした保育作業や伐採・搬出等に掛かる費用も回収できず
林業はすっかり衰退してしまいました。
間伐をはじめとする森林の整備(手入れ)を行ったり、
主伐(収穫のための伐採)を行っても採算がとれず、赤字になってしまうのです。
林業経営者の意欲は低下し、若者は都市部へ雇用を求めるようになりました。
また、林業以外に目立った産業のない山村地域では、林業の衰退とともに、地域の活力も低下し、
林業離れによる後継者不足、
林業就業者の高齢化、山村問題、限界集落と呼ばれる問題まで起こっています。
日本の森林は充分な手入れがなされず、荒廃が目立つようになりました。
荒廃した森林は、公益的な機能を発揮できず、台風等の被害を受けたり
大雨等によって、土砂災害を起こしやすくなります。
さらに、二酸化炭素を吸収する働きも低下し、温暖化防止機能も低下します。

また、拡大造林政策によって生み出された多くの人工林が収穫期を迎えていますが、
伐採さないまま、放置されている森林も目立ちます。
収穫期を迎えた森林を伐採し、植えて、育てる、そして伐採するというサイクルを回す必要があります。
このサイクルを円滑に回すためには
国産材を積極的に利用し、需要を高め、資金を山に還元する必要があります。

森林を伐らないで守ったり、植えて回復しなければならないのは
概ね海外(熱帯林の違法伐採等)の事情で、日本とは異なります。
日本の森林資源は使われずに余っています。
日本では成長した森林を活かすべき時代となったのです。

Author Profile

井上 幸一
井上 幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。