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強い家を考える 4

ピノッキオとフェロッキオの伸びた鼻を使って、

もう少し鉄と木の強さについて考えてみましょう。

2人の伸びた鼻は、ちょうど階段の手すりのような棒状のものだと考えてください。

ぎゅっと握って力が入る手すりの太さは、34mm位がちょうど良いとされています。

手すりのような1mほどの棒が、ピノッキオのように木でできていれば、

重さは360gほどで、片手で簡単に振り回すことができます。

ところがまったく同じ形でも、

フェロッキオの鉄の鼻の棒の重さは7kgを超えてしまいます。

振り回すのにも、とても大きな力が要ります。

そして、この棒をぶつけ合ったら、

木の棒が折れそうなことは、簡単に察しがつきます。

では、まったく同じ重さの棒にするために

フェロッキオの鉄の棒を細くしたらどうでしょうか。

この場合は、7.7mmほどの細い棒になります。

同じ重さですから振り回すのも楽になりますが、

すぐにも曲がりそうなほど細く感じます。

これらをぶつけ合ったら、鉄の棒は間違いなく曲がってしまうことでしょう。

細い材は曲がりやすいので、

とても手すりのような力を加えることはできそうにありません。

軽くするためにはもう一つの方法があります。

手すりと同じ外側のサイズのままで、パイプのような中空の形にするのです。

見た目も同じように見えるので良さそうです。

でも、同じ重さにするためには

パイプの厚さは0.44mmほどの薄さにしなければなりません。

さすがに飲料に使われているスチール缶は0.2mmほどですが、

ブリキの角缶は少し厚くてちょうどそれくらいの厚さのものがあります。

フェロッキオの伸びた鼻がそのようなものだと思って下さい。

これを、木でできたピノッキオの鼻とぶつけ合わせたらどうなるでしょうか。

なかなか難しい想像です。

木の棒も無傷ではすまないかもしれませんが、鉄の棒がへこむのも間違いありません。

ではこの2つの棒を、互いに交差させてゆっくり押し合ったらどうなるでしょうか。

少なくとも計算上は、鉄の棒の方が曲がってしまいます。

実は、木材は曲げにも強いのです。

つまり木の人形であるピノッキオと、鉄の人形フェロッキオの勝負は、ピノッキオが勝ちます。

木の方が鉄よりも強いというと信じられないかもしれませんが、

比強度で考える限りはこれば本当の話です。

でもこれらはあくまでも一般的な木と鉄の話です。

たとえば橋梁の建設等、絶対的な強度が必要な所では

高張力鋼のワイヤーを使うなどの鉄の技術を人間は考え出しています。

ですから決して鉄が弱いのではなく、

思った以上に木材が強いということなのです。

おうちのはなし 抜粋

4回シリーズでみなさんに「強さの意味」を考えて頂きました

Author Profile

井上 幸一
井上 幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。