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職人の心意気を知る

日本の歴史の中から、職人の心意気がうかがえるエピソードをひとつ紹介しておきましょう

世界遺産となった法隆寺の話です。

棟梁西岡常一さんが中心となって昭和の大改修が行われた際に、
実は建設当時に書かれたであろうと思われる落書きが発見されました。
落書きの中でも、釈迦三尊像台座裏に書かれた12文字が有名です。
日本人が書いたのか、それとも渡来人が書いたのかも不明です。

その文字は、次のように読めます。

相見了陵面未識心陵了時者

現代の中国語でも、どこで区切るのかによってニュアンスも違い、すぐには解釈できません。
また「了」の文字を「功」や「干」と判読したり、「未」の文字も
「楽」や「保」の崩し字と意味を広げて解釈する場合もあります。

その上「陵」の文字が陵墓をイメージさせ、台座裏という場所と重なり、文学的、哲学的な解釈をしたくなるようです。

しかし書かれている場所も、文字も、正式なものであるとは思えません。
あくまでも落書き的であることを考えれば、工人、つまり当時の職人が書いたのではないかと考えるのが順当です。

日本にない建築技術を伝えるために、大陸からの工人も渡来して現場にいたはずです。
そして国家事業としての社寺建設にあたっては、日本の中でも選び抜かれた工人が集まっていたことでしょう。

当時の感じは、万葉仮名としても使われているので、百済の工人が書いたという説もあります。
百済の言葉で解釈するためには、文字の順序を変えなければなりません。それは少し無理があるような気がします。

20111001-10

 

 

(おうちのはなし 抜粋)

 

 

Author Profile

井上 幸一
井上 幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。