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畳の感触と匂いだけでタイムスリップしてしまう

夏の昼下がり
おばあちゃんの家の
ほの暗い座敷で
昼寝をした遠い記憶
外のまぶしさと軒下に揺れる淡い光。

 黒光りする廊下や柱、飴色の畳、白い障子。

 風が吹き抜けると
藺草(いぐさ)の香りが漂って。
しっとり、さらり・・・

 畳の感触と匂いだけでタイムスリップしてしまう。

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平安時代には、お雛様が敷いている厚畳のように、
高貴な人を床よりも一段高いところに座らせる権威の象徴的なものであったのです。

室町時代になり、部屋全体に敷き詰められるようになり、
江戸時代には庶民の家でも畳が敷かれるようになりました。
とは言うものの、火事の時には大八車に蒲団や箪笥と一緒に畳も積んで逃げたりしており、
床材というより家財道具という意識だったようです。

そうやって持ち運べて、引っ越し先でも使えたっていうのは、畳のサイズが
規格化されていたからで、「起きて半畳。寝て一畳」って言葉があるが、
サブロク(3×6尺)サイズって人の身体モジュールが元になっているようです。

しかし、使う人のモジュールで出来ているように思われるが、実は運びやすさ
とか作りやすい大きさから来ているんではないんでしょうか?

また、藺草は泥染めし乾燥させた後にランクに分けられます。

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草と土が一緒になってはじめてあの畳特有の色と香りが生まれるのです。
泥染めをすると変色を防ぐことができ、長持ちするのだといいます。
藺草の表面に付いた土の粒子が水分を吸収すると共に、泥コーティングで熱の吸収も
よくなり、乾燥が一気に進み、酸化酵素が働かなくなるらしく、つまりはアンチエイジングです。

 畳がもっている空気の浄化作用や抗菌性も、
珪藻土や漆喰と同じように、泥の効果なのかもしれません。

 新品の畳は、白粉のようにうっすら土をまとっています。

「昔は畳を買った人がこの土を自ら布で拭きあげ、毎日拭くと飴色に艶を増して行きます。
    畳は使い手が時間をかけて
育てて行くものなんです。」

日本ならではの畳。畳がない住宅も近年増えています。

 先人たちは、住まいだけでなく様々なモノも日々のメンテナンスをおこなってきました。
藺草の何とも言えない香り。
古民家の時代は湿気の少ない春と秋に畳み上げをおこなわれていました。

 建築の基準が変わり日本式の起居様式から洋風の起居様式に変化していくなかで、
今まで和室や畳の部屋を重要視していた文化が薄れてきています。

日本の良いモノ・・・。残していきたいですね。

本文抜粋もと(全日空 翼の王国)

 

Author Profile

井上 幸一
井上 幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。