Skip to content

大工さんの役割が消えていく時代

プレカット、
プレカットとはプレ(事前に)カット(加工)するという事で
工場の機械を使って
構造材の継ぎ手やほぞ穴などを加工してくれます。
大工さんは工場で加工されたものを
プラモデルのように組み立てるだけです。
技術もあまりいりませんし、
機械で加工するので精度も良く、品質のムラも無いのです。

いいように思うかもしれませんが、
加工するものが鉄やプラスチックなどの工業製品なら
同じ品質もののが大量生産できますが、
木造住宅の構造は木です。

自然素材ですから同じ柱でも1本1本クセがあったり
年輪の具合や強度もバラツキがあるのです。
昔の大工さんは木の年輪などを見ながら
使う場所や方向を決めて使っていたのです。
木は曲がったりそったり、
ねじれたりしますからそれを予測して使っていたのです。

柱の真ん中に年輪の中心がある柱を心持ち材といい、
年輪の中心がない柱、
心去り材よりも強度が強いので柱などに使いますが、
年輪は綺麗な円周ではなく木が成長していた時には
南側の日当りのいい方向は年輪巾が広く、
日当りの悪い 北側は年輪の巾が狭いのです。

木材に含まれる水分が抜けてくると
年輪巾の大きな方が痩せてそちら側にねじれます。
プレカット工場で見たのは機械に柱などの木材を入れるのは
年配の経験豊かな大工さんではなくて
ヘルメットをかぶった20歳ぐらいの若いお兄ちゃんでした。
ですからプレカットで加工する木の多くは
「強制乾燥」して殺してしまいます(動かなくする)

o042903221326028377383

プレカットで加工した和室の柱ななどにはたまに
上下が逆に加工されたサカ木といわれるモノが混じっています。
木の柱は生きていたときと同じように
地面に近い方は下に、葉っぱがあった上の方を上に使います。
それが逆さまなのです。
和室ではなく大壁で隠れてしまう部分の柱であれば
大工さんも気にもとめないで使ってしまうことがあります。
機械という便利なものは時として
経験や知識を学ぶチャンスを奪ってしまうものなのです。

Author Profile

井上 幸一
井上 幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。