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築180年の古民家再築

「ジャパトラ Japan Traditional」9月号で、私たちが手掛けた松戸市の古民家再築が紹介されています。

松戸市O様邸外観as

この古民家は築180年。松戸駅近くの旧日光街道の交差点角地に位置しています。

江戸期最後の将軍、徳川慶喜の弟が住んでいた「戸定邸」が直線距離で200m程のところにあります。慶喜も大政奉還以後の明治期に、仲の良い弟のいるこの場所に遊びに来ていたみたいです。当時、慶喜が周りの風景も兼ねて、こちらの古民家を写真撮影していて、戸定邸に保存されています。

100m程のところにある関所跡には、幕末の志士達、吉田松陰、新撰組、他文化人達の逸話が残っており、そんな歴史を見て来た貴重な1軒となっています。

この古民家の再築のきっかけは、左側面から車が家の中に突っ込み、柱を折りながら右端まで到達してしまったことです。私が調査に行った時は、既に傾いていて、2本の大黒柱のみで支えている状況でした。勿論、倒壊の危険がありましたが、この状況で持ち応えている古民家の強さに感嘆しました。まして車が追突したのは、これで3度目というから驚きです。

02松戸O様邸トップビフォー(2-3)(調査時の状態)

私の周りの工事関係者は全員が再生工事に反対でした。只、私がどうしても仕事柄、再築してみたいのと歴史を残したい気持ちが抑えきれず、施主のO様にお話しし古民家再築を決断しました。家の傾きを嵩上げするのにも、バランスや新規取替、補修にも労力を注ぎました。できうる限り忠実に再生したいとの想いでした。

この正面は昔ながらの商家格子があり、現場で1本1本製作し、横桟も貫で通しました。宮大工さん達も苦心して頂きました。

06松戸O様邸江戸貫格子(2-8)

工期として仮設や一部解体・処理・資材搬入・床土間工事で1ヶ月半、嵩上げ・補修・新規造作・建具等で4ヵ月、設備・仕上で2ヶ月半の半年以上の工事期間となりました。工事を早くすることもできたとは思うのですが、手間をキッチリと掛けた仕事でなければ長く保存はできないとの強い思いもありました。

この古民家は、幕末動乱・宝永地震・戦時空襲・高度成長期・バブル時開発・そして3回の追突事故にも耐え抜いた生命力の強い古民家なのです。更に長く1世紀以上を生き抜いて欲しいものです。工事後も毎年、訪問しO様と歓談しています。

07松戸O様邸江戸貫格子2(2-1)

自分自身が永遠性を感じると何とも言えない心地よい安心感があるものですね。

 

一般社団法人古民家再生協会千葉市原支部
支部長ブログより抜粋